遮熱と断熱は違います
「遮熱」と「断熱」は違うもの
「遮熱」とは、室内へ流入する日射熱の量を低減することです。遮熱機能を備えたフィルムを窓ガラスに貼ることで、窓から入る日射熱の量が抑えられるため、夏の暑さ対策になります。
一方「断熱」とは、室内外の熱の移動を抑えることです。断熱機能を備えたフィルムを窓ガラスに貼ることで、冬は暖房で暖めた室内の熱を窓から外へ逃げるのを抑え、夏は暑い外気熱が室内へ流入するのを軽減します。
見るべきポイントは「遮蔽係数」と「熱還流率」
フィルムの遮熱/断熱能力を見るには、「遮蔽係数」と「熱還流率」を使います。 遮蔽係数と熱還流率は低いほど能力が高く、一般的に断熱能力が高いフィルムは遮熱断熱能力も高い傾向があります。
自動車用断熱フィルムは「遮熱フィルム」と呼ぶ方が相応しい
「遮熱」「断熱」という言葉の定義を踏まえると、自動車用の「断熱フィルム」は、実は「“遮熱”フィルム」と言う方が適切です。 もちろん断熱機能は備わっていますが、建物用の断熱フィルムほど高い断熱効果が得られるわけではありません。
ガラス/フィルムの種類 | 遮蔽係数(遮熱) | 熱還流率(断熱) |
---|---|---|
[基準]3mmフロートガラス | 1.0 | 6.0 |
[建物用]ペンジェレックス PX-7060S | 0.56 | 3.6 |
[自動車用]WINCOS HCN-70 | 0.66 | 5.9 |
自動車用“断熱”フィルムの今後
実のところ、現在生産されている自動車用フィルムには、建物用の断熱フィルムと同等の断熱効果が得られるものはありません。 ビーパックスとしては、本来の意味での「断熱フィルム」の自動車窓ガラスへの施工を実現すべく、 建物用の断熱フィルムを自動車のサイドガラスに施工する試験をするなど、施工技術の開発に取り組んでいます。
ただ、もともと建物用フィルムと自動車用フィルムとでは、フィルム自体の性質に大きな違いがあります。 自動車用フィルムには、薄さ、耐久性、曲がりやすさ、透明度(可視光透過率)などが求められるからです。 やはりフロントウィンドウにも施工ができるようになるには、フィルムメーカーによる製品開発も必要になってくるでしょう。